Network Working Group N. Borenstein Request for Comments: 1437 Bellcore M. Linimon Lonesome Dove Computing Services 1 April 1993 新しいメディア向けの MIME Content-Type の拡張 The Extension of MIME Content-Types to a New Medium このメモの位置づけ このメモはインターネットコミュニティに対し情報を提供する。これはイ ンターネットの標準を規定しない。このメモの配布は制限されない。 概要 先行する文書 RFC1341 では、インターネットメールにおけるデータタイプ の広範な多様性を表現するための書式と一般的な枠組みを定義している。 この文書では、MIME の特別なデータタイプである matter-transport/sentient-life-form タイプを定義する。MIME タイプ matter-transport/sentient-life-form は完全な知覚生物、例えば人類を 添付した電子メールのより広範なやり取りを容易にするためのものである。 ほかに、非公式に "non-sentient-life-form" 及び "non-sentient-non-life-form" のようなサブタイプを提案する。直交性の ために必要だが人を惑わせるような "sentient-non-life-form" について はこのメモでは議論しない。 matter-transport/sentient-life-form MIME タイプ 生命を添付された電子メールのより広範なやり取りを促進するため、この 文書では、新しい MIME Content-type の "matter-transport" と初期サブ タイプ "sentient-life-form" を定義する。このサブタイプは以下のよう な基準を満たすように設計された。 1. 文法はパースしたり標準を誤って解釈したことによる不慮の死の危 険性を最小化するために非常に単純でなければならない。 2. データフォーマットは、たとえどんなに信じられないくらいたくさ んの電子メールゲートウェイを通過しても、個々の生命が生き延び、そ のはじめの状態と区別がつかないような形状に再構成されることが確か められるための冗長性があって、非常に頑健でなければならない。 3. 文法は非人類種(例えば、イルカ、クリンゴン(Klingons)、政治家 など)の転送のために、必要とされるあらゆる未発見の生命体の記述を 許容するように、拡張可能でなければならない。 Borenstein & Linimon [Page 1] RFC 1437 MIME Content-Types for a New Medium 1 April 1993 4. 文法は SGML と互換性がなければならない。適当な DTD (Document Type Definition --- SGML を使った文書型定義の標準的機構) によっ て、一般的な SGML パーサを、データ構造をパースし生命体再構成の機 構の指定子を作るために書けるようにする。しかし、この互換性にも関 わらず、文法は、かなり確実に、完全な SGML のものよりもはるかに単 純になるだろう(それゆえ、SGML に関する知識はこれを実現するのには まったく必要ない)。SGML のたいへんな複雑さは、そんなに複雑な生命 体を記述するのにも必要ないことが予見されているのだから。 新しい content-type の文法は非常に単純である。そして、単純さという 点において効率はかなり犠牲になる。content-type 行にパラメータとして (センチメートル単位で測った)たて(height)、横(width)、奥行き(depth) で指定されるような3次元の四角い個体を記述することを仮定する。(一般 に、これは転送される生命体を完全にしまうことのできる箱である。ただ し、十分な帯域がない場合は、個体が四肢のうちいくつかがない状態で再 構成されたときに必要となるような応急手当てを受取り手の側で施すこと が可能であるとわかっているなら、なにかもっと小さな箱を使うこともで きる。) 4つめのパラメータは物体をスキャンしたときのオングストローム 単位の解像度(resolution)を与える。次のように Content-type の値を指 定する。 Content-type: matter-transport/sentient-life-form; height = 200; width = 60; depth=60; resolution=10 このように指定した場合、箱は 60 cm × 60 cm × 200 cm と記述され、 解像度は 10 Åと記述されたことになる。解像度は量子化の単位を与え、 再構成の品質を決定する。データストリーム自体は与えられた解像度を使っ てそれぞれの場所で見つけられる分子を読み出したものから構成される。 解像度が与えられた場所では分子が1つだけ見つかる程度に十分高ければ、 格子の中心に最近接の核がある分子が使われる。個々の分子は分子式で記 述され、物質転送メールが不注意で人間の受取り手のところに届き端末画 面に表示された場合には、もっとも可読性の高い ASCII で表示される。個々 の分子は、あとに続く分子の記述と分離するためにスペース(ASCII 32) の 後に記述される。とくに長い分子は quoted-printable のような content-transfer-encoding を使わなければならないかもしれない。自動 改行するようなメールシステムが、例えば、複雑なたんぱく質がその構成 要素に意図せず分解してしまうようなことがないように。 Borenstein & Linimon [Page 2] RFC 1437 MIME Content-Types for a New Medium 1 April 1993 以下のメッセージは、有名な米国の政治家の単純化した表現を与えるメッ セージである。はじめの部分はこんな風になる。 From: "Nathaniel S. Borenstein" To: Mark Linimon Subject: 再構成する前によーく考えてね Content-description: Dan Quayle, 低解像度版 Content-type: matter-transport/sentient-life-form height = 200; width = 60; depth=60; resolution=100000 Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 Fe Fe NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 Fe Fe NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 Fe Fe NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 Fe Fe NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 Fe Fe NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 Fe Fe NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 Fe Fe NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 Fe Fe NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 Fe Fe NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 Fe Fe NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 Fe Fe NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 Fe Fe NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 NO2 Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe Fe 明白に、実際の政治家の頭蓋骨はその内部がそうであるように純鉄よりは 複雑である。しかし、この単純化した例からこのプロトコルの一般的な雰 囲気がわかるだろう。 (米国副大統領の再構成における注意事項:伝えられるところによると、現 在開発中の物質再構成手順の一部は、相対的に高真空の部分(例えば頭蓋骨) を再構成しようとしているうちに性能が劣化するとされている。推奨され る受取りテストは、通商担当の副大統領のようにその頭蓋骨が一部分だけ真 空な主体で確かめるべきだ) MHS (X.400) ゲートウェイに関する考察 複雑なマルチメディアメッセージの転送を考慮した MIME/MHS ゲートウェ イの固有の振る舞いは IETF の支援の下、調査中の事項である。物質転送 の追加により、その労作を明白にわかりにくくすべきでない。X.400 互換 でない MIME タイプに対するゲートウェイの振る舞いを規定する必要があ り、物質転送は単にほかの変換不可能なタイプであるから。 Borenstein & Linimon [Page 3] RFC 1437 MIME Content-Types for a New Medium 1 April 1993 しかし、現実世界の X.400 ゲートウェイは、埋め込まれた人類が同封され ているということを認識せずに受取り手がそれを消してしまうほど暗号化 されたメッセージにより人類を添付したメールが拒絶されるような危険が 明らかに増すということを考慮されている。このため、物質転送の主体は X.400 の次世代の仕様 X.400-1996 において、明示的に「先々の研究のた め」と印をつけることを推奨する。このことは、コミュニティに対し X.400-2000 の一部として物質転送のためのより完全な仕様を、そして X.400-2004 の一部として実現可能な仕様を定義するための膨大な時間を提 供する。このことが強すぎる伝統との断絶となるだろうことをきっと論ず るだろうけれども。 実装に関する考察 ユーザーは、NFS ファイルシステムを使ったコンピュータを通して MIME 転送メッセージを通過させることにたいし注意を払う。ファイルスペース がないというエラーは長さ 0 のファイルに切り刻んでしまうプロトタイプ システムの上の実験用ラットのうちの1匹を引き起こした。不幸にも、われ われはスクラッチラットをマウントするのを見過ごしてしまった(われわれ は彼の名誉のため空のファイル名を永遠に残すことに決めた)。 ストレージシステムにおけるバイトスワッピングの問題もまた同様に悩ま しい。しかし、ネットワークバイトオーダーが常に維持されているなら問 題にならない。 プロトコルの頑健さに関する著者の信念にも関わらず、あるシステムを通っ た電子メールの一節は、sentient-life-form が宛先に逆さまになって到着 し、ズンと悩ましいことになるだろう。原因はいまだ調査中である。 極座標系を使った物質転送によるやり取りは推奨しない。四捨五入やその 他の至るところにある浮動小数点実装のアルゴリズム的な誤りのために、 もっとも慎重に「残念だ」と記述されるような結果となるだろう。 同様にオフバイワン(off-by-one)エラーは避けられるだろう。 このプロトコルを広く採択することは、信頼性の高いバックアップシステ ムに対するユーザの需要を高めることになるだろう。より重要なことは、 本来の電子メールのバックアップが仮想的な不死を送ってしまう可能性に 気付いたら、はじめて経営者はそのようなシステムに資金を十分に供給す る動機を与えるだろう。(他方、実装する側は不死の経営者を作り出すこと のが望ましいかどうか真剣に考えるだろう) Borenstein & Linimon [Page 4] RFC 1437 MIME Content-Types for a New Medium 1 April 1993 追加的な関心事は次のような事実を反映している。この content-type を 導入することに先立ち、だぶったメール配送は相対的には小さな厄介ごと だ。メールとともに、この文書で述べられている拡張はメールがだぶって 配送されることでユーザにたとえば複数の配偶者やまま母を残すという可 能性に行き着く。メールがだぶって配送されるのと避けたいと言うことと、 メールを失ってしまうことを避けたいと言うことの両者の相対的な重さが 場合によって変わるかもしれない。 セキュリティの考察 セキュリティの考察はこのメモでは議論しない。しかし、法の執行機関は この仕掛けが犯罪者によって、司法権の外へ自分をメールすることにより 本国送還を避けるために、または長い遅延のある複雑なメールの経路を通 じて自分をメールすることにより時効の規定を待つために使われる可能性 を考慮することを望むだろう。(明るい面に目を向けて、長いこと問題になっ ている過密な刑務所の問題の解決の可能な取り組みとしてMIME を考慮する ことを考えるかも知れない) 著者 この文書の著者はインターネット接続された MIME リーダーに以下のデー タを入れることにより再構成されるかもしれない。: Content-type: multipart/mixed; boundary=NextAuthor --NextAuthor Content-type: message/external-body; access-type=anon-ftp; site=thumper.bellcore.com; directory=pub/nsb; name=nsb.flesh Content-Description: Nathaniel Borenstein Content-type: matter-transport/sentient-life-form height = 200; width = 60; depth=60; resolution=100000 --NextAuthor Content-type: message/external-body; access-type=anon-ftp; site=thumper.bellcore.com; directory=pub/nsb; name=linimon.flesh Content-Description: Mark Linimon Content-type: matter-transport/sentient-life-form height = 200; width = 60; depth=60; resolution=100000 --NextAuthor-- Borenstein & Linimon [Page 5] RFC 1437 MIME Content-Types for a New Medium 1 April 1993 著者の連絡先 Nathaniel Borenstein Bellcore Room MRE 2D-296 445 South Street Morristown, NJ 07962-1910 Phone: (201) 829-4270 EMail: nsb@bellcore.com Mark Linimon Lonesome Dove Computing Services P.O. Box 20291 Roanoke, VA 24018 Phone: (703) 776-1004 EMail: linimon@LONESOME.COM Borenstein & Linimon [Page 6]