ユメミ復活計画

異変

2000年1月半ば。とある雑誌の付録のCD-ROMから、とあるデバイスドライバに 割りと近いところにあるソフトをインストールした。まあ、このソフト以外に もいくつかのソフトを入れたり抜いたりしていたからこのソフトが本当に悪い のかどうかはよくわからない。とにかく、このソフトをインストールした後に モデムカードを装着し、PPP接続をするときに、「カードの設定情報が壊れて いるけど標準の設定で動かしていいね?」という内容のメッセージが出るよう になった。どうせWindowsのやってることだし、このメッセージに対して「別 にいいけどぉ」と答えれば動作するので、捨て置くことにした。

考えてみれば、この段階で手を打てばこんなに大事にならなかったかも知れな いな。

ところが、2,3日この状態が続いた末、とある飲み会に「出席しますよ」とい うメールを出そうとしたとき、ついにモデムカードのドライバが組み込まれな くなった。とりあえず、この現象はその飲み会に出席するなという神の啓示だ と解釈すれば、このメールが出せないことは大した問題ではない。とはいえ、 これでイソターネットできなくなってしまったということは大きな問題である。 このところ、友人等とのコミュニケーション手段がメールのみになりつつある 現状を考えれば、可及的速やかな復旧が望まれる。

ちなみに、とある「Windowsの問題を解決!」と銘打つ、常駐して監視する機 能もついているソフトも入れていたのだが、これでは直すことができなかった。 ま、このソフトを入れてからどことなく不安定だったからあんまし期待はして なかったけど。

というわけで、リカバリCD-ROMによる復旧しかないと決意した。

リカバリCD-ROM

リカバリCD-ROM付属。いつでもあなたのPCを出荷時状態に戻せます。安心だね。

なんてことを言われても、出荷時状態ってことは自分が使いはじめてから追加 した分はすべてサポート外(当たり前)なわけで。とにかく自分で増やした分は なんとかしなければならない。

ここで問題になるのがリカバリCD-ROMが戻してくれる「出荷時状態」ってのは なにか、である。「出荷時状態」が厳密に『お客様が梱包を開いたときの状態』 (東芝のテクニカルサポートの回答の1つ)だとすれば、想定されるバックアッ プの量は尋常じゃない。

なにしろ、yumemiは購入時にプレインストールされていたWindows95以外に、 FreeBSD2.2.7を導入してある。しかも、FreeBSDの領域は、仕事がらみの自分 の製品が山ほどある上に、どうやって設定したかなんてとっくに忘れている。 まあ、設定は完全に復旧させるのをあきらめるとしても、仕事がらみの資産が 数MB。さらにXサーバはNeomagic用に調整した友人謹製のサーバ。これも確保 しておかなければならない。

そしてさらに、Windows側でもかなりの量の資産がある。とくに、ネットワー ク経由で入手したソフトがちょっとした量がある。ネットワークで落とした分 は通信料金がかかっているからあんまし手放したくない。とするとこの分もバッ クアップか?

というわけで、圧縮したとしてもトータルで数十MBのバックアップが必要にな りそうだ。

でもどうやって?

バックアップが必要なのはわかった。しかし、数十MBに及ぶデータをどうやっ てyumemiから運び出すのか。

モデムカードが認識できないという現象は、どうやらデバイスドライバの組み 込みの部分で異常が起っているらしいと推察される。ということは、かりに適 当なIDEインタフェースカードとかSCSIインタフェース、はたまたネットワー クインタフェースカードなんかを持ってきても接続できる望みは薄い。そもそ もその手のインターフェースを持ってきたところで、現状でこれを受け止める ことのできる装置もない。

そう。フロッピーくらいしか外部記憶媒体がないのである。1.44MBフォーマッ トでないフロッピーなら数十枚の単位で余っているから新規購入の必要はない にしても、これだけフォーマットするだけで1時間以上。バックアップ作業本 体も考えるととてもやってられない。

これは困った。

サポートを受けよう

ちっとは楽がしたい。

というわけで、リカバリCD-ROMの動作に関して考えてみよう。

購入時、yumemiのHDDは2GBのパーティションが2つあった。そして1つ目のパー ティションにはプレインストールのソフト類が入ったCドライブに、2つ目のパー ティションは空のDドライブに設定されていた。

とすれば、ありうる動作として、2GBのパーティションをディスクの先頭から 作成し、そこにプレインストールのソフト類を流し込むという動作。

幸い、ここまでのことは考慮して、1つ目のパーティションにはいっさい手を 付けず、2つ目のパーティションを再分割してFreeBSDを入れていた。ディスク の先頭付近での変更と言えば、MBRをFreeBSDのブートマネージャに入れ替えて ある程度。パーティション作成の時にパーティションテーブルを壊さないでく れれば、後ろの方のパーティションに書き込んでおいたものは初期化されない だろう。

このことのウラをとるため、東芝のテクニカルサポートに聞いてみることにし た。ところが、まるでつながらない。とある平日の13時頃から受付終了の18時 までに5回ほどかけてみたが、毎回、「たいへん込み合っております」のアナ ウンスが流れるのみ。

この調子では埒があかないので、困ったときのなんとやら、YAHOOで DynabookSSをキーにして検索をかけてみた。運よく、DynabookSS3380を使い込 んでいる人のページが登録されていたので、これ(URLは失念。申し訳ない!) を参考にさせてもらった。このページの記述によれば、リカバリCD-ROMはすで に存在する1つ目のパーティションをフォーマットし、そこにプロダクトを流 し込むという内容の記述があった。

テクニカルサポートの翌日の受付開始と同時にかければいくらなんでもつなが るだろうから、そこでウラをとってから実際の作業をするとして、このことを 前提にバックアップの準備をしてよさそうだ。すなわち、極めて重要なデータ だけバックアップしておいて、万が一壊されたときはそれ以外はあきらめるつ もりでいるのが、リスクコスト比が最適になりそうだ。

かくして、その晩は最重要データの選別とバックアップ作業。翌朝一番でテク ニカルサポートに電話した。ようやくつながったので、早速、「リカバリ CD-ROMを使って得られる出荷時の状態ってのはどういう意味か」と聞くと、得 られた答えが『お客様が梱包を開いたときの状態』になるという。聞き方を誤っ たことを悟って、質問を変える。「パーティションを切り直したりしているん だけど、出荷時状態のパーティション状態に戻すような動作をするのか」と。 これで、私の望んでいる答え、『1つ目のパーティションをフォーマットして プロダクトをインストールします』が得られた。

ちなみに、選んだ最重要データの量は5MB。フロッピー4枚におさまる。この程 度ならフロッピーバックアップをする気になる。

リカバリしよう

リカバリにおいてはCドライブがフォーマットされ、再インストールされる。 というわけで、消えない方がいいデータはDドライブへ移動。どんなソフトを インストールし、どんな設定をしていたかを大まかにメモする。あとはDドラ イブやFreeBSDパーティションが壊れないことを祈ってリカバリを起動。

ほどなく出荷時状態(Cドライブのみ)に戻った。ブートマネージャがそのまま 残ったので、とてもゴキゲン。

まずはじめにやったのが、いらないプレインストールソフトの削除。大手プロ バイダの接続ソフトの類いは全部いらないので、すべて削除。さらに、変なネッ トワークサービスを削除して、(プロバイダのおすすめ設定に従って)TCP/IPと ダイヤルアップだけにする。

きれいになったところで、復旧作業に入る。

とりあえず、早いところメールが読みたかったので、メールを読むための環境 (Mule + cmail)の復旧を優 先する。ついでに、LHmelt, Tera Term Pro の復旧も行う。ここまでで、リカバリ開始からおよそ5時間。

心配をかけていた一部のみなさんに報告をかねてメールの送受信をする。

ひとわたりのソフトウェアがそろったので、役には立たなかったけどWindows の問題を解決してくれるソフトウェアのサブセットであるウィルスチェッカー を導入し、最新のウィルス定義ファイルを入手する。これに1時間近くかかっ た。ま、23時半過ぎなんかにやるのが悪いのかな。

事件じゃ

あとは、その他の雑多なソフトをインストールすれば完全復旧。というわけで、 いくつかのソフトをインストールしていた。いくつ目かのソフトのインストー ル中、「いくつかのファイルのバージョンが合わないから入れ替えていいか」 というようなメッセージがでた。ま、バージョンが古いだけなんだろうと思っ て「いいよ」と答え、再起動されてインストールをした。

次の再起動時、なんらかのソフトが起動できないというエラーを発生。某Web ブラウザの起動もできない。問題のソフトをアンインストールしても問題は解 決しない。

無駄な抵抗はやめて、再度リカバリすることを決意した。ただし、夜も遅いの で続きの作業は翌日回し。

再びリカバリ

インストール作業が、しかるべき場所にコピーするだけというようなソフトウェ アをDドライブに待避し、インストールのために圧縮を解いたファイルも同様 に待避する。

これでかなりリカバリ後の作業が減るはず。

というわけで、再びリカバリ。

このトラブルによる教訓は、重要なソフトほど後からインストールす べしだ。後からインストールしたどうでもいいソフトウェアのせい でリカバリをしなければならなくなる事態を考えればこれが妥当な選択だ。

というわけで、その問題を起こしたソフトをはじめにインストールしてみた。 そう。リカバリをする前にはそのソフトはたしかに動いていたのだから。それ でもうまくインストールできなければこのソフトを捨てればいい。

試してみれば、あっさりインストールでき、正常に動いた。その後、数回再起 動してみたが、まるで問題が起きない。要は、1回目のリカバリの際、はじめ の方でインストールした何らかのソフトが何かのファイルを置き換え、そのせ いで問題を起こしたソフトのインストーラが想定しているファイルのバージョ ンと違ってしまったのだろう。

インストーラの動作だけの問題と考えれば、大した問題ではないと判断し、そ のほかのソフトを、あまり重要でない順にインストール。一番重要な、 Mule+cmailは最後に作業した。ちなみに2回目のリカバリ作業は3時間ほどで終 了。2回も続けてやるとさすがに速い。

ところが、すべてうまくいったと思ったら、前日、1時間近くかかって入手し た新しいウィルス定義ファイルを消滅させてしまったことに気が付いた。あま り気が向かないので、ウィルス検知ソフトのインストールはやめた。ま、あと 半年もすればウィルス定義ファイルの入手権がなくなるし、そのときに別の会 社のソフトに乗り換えればよかろう。なんとなく不安定になるのが気に入らな かったし。

さいごに

それにしても、まったく起動しないような損害を受けなくてよかった。もし、 起動できなくなれば、バックアップもままならない。日頃のバックアップが重 要とか言っても、そうそうできるものでもなし。ましてやそのための装置が手 元にないとなおさらそんな気にならない。maggieを導入したら重要データの相 互バックアップをするようにしないとな。

それから、出荷時から大幅に設定を変えるようなソフトはインストールしない 方が無難なんだろうな。出荷当時になかったような画期的なソフトは導入しな いとか。これが処世術?

だれだ。そこで「ならFreeBSDは違うんか」とか言ってる奴は。ま、そりゃそ うなんだけど、なんていうか1つのOSの中で無矛盾になるようにするための予 防措置っていうのか、ま、そういうようなものだ。


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最終更新: Sat Jan 22 23:10:10 2000